「HILL OF HYUPONIA(ED PARALLEL MIX)」

「僕」は哀しみの国の海岸の丘の上に立っていた。
遠い波の音と潮風が僕の長い耳を心地よくくすぐり、
一本だけ立っている木はサヤサヤと揺れていた。

海の上にポッカリと浮かんだ哀しみの国の、傾き今にもくずおれそうな廃墟は、
晴れた空の下、あの永く暗い哀しみから開放されて安らいでいるように見えた。

黒い腕、両手にはめた大きな手袋。「僕」は夢見る黒き旅人、クロノア。

「レオリナさん、哀しみの国を建て直すって張り切ってましたね。
 私もがんばらなきゃな……。」

そう言って僕の隣に立ち、ロロは微笑んだ。
遠くレオリナの飛行機が、ふるふるとエンジン音で空気を揺らしながら飛んでいく。
ロロの帽子に刺さっていた小さな羽飾りは、今はもう無い。

「巫女の資格、返しちゃったんだ……。」

でも、それでいいんだと思う。
潮風に顔をなぶらせるロロの横顔には、はっきりと強い意志が見えた。
臆病で内気な自分に惑いながら、さ迷うこともない。
そう、あのミラ・ミラの人たちのようには。
験しの鐘ももうきっと、一人で鳴らせるだろう。

ポプカは木陰でさっきからずっと昼寝している。
こいつも口は悪いし、適当だし、強引だけど、いいヤツだから。
きっとロロのいいパートナーになるだろう。

ディン・ダン・ドゥ。
全ての鐘も鳴り終えた。僕はもう、行かなくちゃ。
振り返り、一歩踏み出す。

「お別れ…なんですね…。
 そうですよね……ルーナティア、クロノアさんには別の世界ですもんね。
 ……帰る場所、ちゃんとありますもんね。」

後ろから聞こえたかすれ気味なロロの声が、くっと、僕の耳を引いた。

「ロロ……。」

「大丈夫、へっちゃらです。
 へっちゃらです。私、がんばれるから……。」

振り返った僕の視界いっぱいに広がったロロの顔。
いくつもの、今にも表に噴出しそうな感情を抑えつけ、
唇の内側を噛み締めて、無理矢理作った笑顔。

でもそれも長くは続かなかった。
抑えきれずに弾けて、柔らかい重みが、僕の体にぶつかってきた。
抱きついてきたロロが、ロロの感情が重かった。

「お別れしなくちゃいけないのは分かってるけど……
 それでもイヤです……イヤなんです………っ!」

パタパタとロロの涙が僕の肩口を濡らした。
嗚咽するロロの息が耳元で聞こえる。

でも僕は行かなきゃいけないんだ。
ここは僕の世界じゃないから、いたくてもいられないから。
僕はロロを抱きしめたまま、小さく首を横に振った。
僕の背中をつかんだロロの手に、ギュっと力が入る。

「クロノアさん…………一つだけ、
 お別れの前に一つだけお願いがあるんです。」

つかむ手にますます力がこもる。
勇気を振り絞って、震える唇で、そう言った。

「なに?」

「最後に、私と二人だけの思い出……。
 クロノアさんと一緒にいた思い出を、ください……。」

顔を離し、真正面から僕を見つめるロロは、
僕の腕をそっとつかみ、自分の足の間に引き寄せた。
ロロの足の間は暖かくて、タイツとパンツの布越しに
クシュ、と湿った感触。

「でも、ポプカが……。」

チラっと横を見ると、ポプカは後ろを向き、
大きな手でまるで猫みたいに顔を伏せてまだ眠っていた。

「あの子、一回寝たらなかなか起きないから…大丈夫。
 私、巫女になっちゃったらもうこういう事、できないから……
 だから……お願いします、クロノアさん。」

羞恥でおぼつかない足取りで二、三歩僕から離れると、
ロロは後ろを向き、顔を伏せたまま、タイツとパンツをまとめてゆっくりと脱ぎ出した。
あらわになったロロの小さく柔らかそうなお尻がタイツを脱ごうと
左右にフルフル揺れるのを見て、僕のズボンの中も充血し、勃ち上がるのを感じた。

全てを脱ぎ捨て、一糸纏わぬ姿になったロロは、
ゆっくりと草地に腰を下ろして、そのまま横になる。
内股で大切なところを隠すようにして、唇を引き締め必死に羞恥に耐えながら
僕の方を、潤んだ薄目で見つめた。

「一回だけだよ……ロロ。
 お別れするのは僕だってイヤだし、こんなことしたら
 ますますお別れしたくなくなっちゃうけど……。」

僕も手袋を外し服を脱ぎ……ロロの前でこんな格好するのは凄い恥ずかしかったけど、
ズボンを下ろして裸になると、ロロの上に覆いかぶさった。

ロロの体毛の無い白い肌はすべすべしていて暖かい。
恥ずかしくて耐え切れないのか、大きな耳まで真っ赤にして、プルプルと震えている。
手探りで下半身をまさぐり閉じられた足の間に手を割り込ませ、
柔らかな恥丘を指先で探り当て、指先で感触を確かめる。

「あっ……」

ピクンと肩をすくめ、さらに身を固くするロロ。

「大丈夫だから、ロロ……ね?」

下半身をまさぐる手はそのままに、
涙ぐんだロロの目を見つめ、ゆっくりと唇を重ね合わせた。
舌で唇を押し開け、ツルツルした歯の間に滑り込ませると、
ロロは脱力したように口を開き、そのまま舌を絡ませてきた。

「ん……ん…。ふぅ…っ。」

緊張で固く、不器用な舌の動きで、それでも一生懸命
僕の舌を探り当て、絡んでくる。
暖かく湿ってねっとりした舌の味と感触が、僕の感情をより高めてくる。
ロロの腿に押し付けられていた僕のものは前にも増して硬くなっていく。

ロロもそれに気づいたらしく、体から力が抜け、
足を動かして僕のものを押し上げ、感触を確かめるようにこすり付けてくる。
ロロのスベスベした腿と僕のフワフワのお腹の間に挟まれ揉みしだかれ、
チリチリと痺れるような感触がダイレクトに頭に伝わってくる。

「ね……ロロ…………もう、いいでしょ?」

体を離し、ロロの膝をつかむと左右に力を込める。
脱力したロロの足は、あっけなく開かれた。

目の前にあらわになったロロの足の間の大切なところはまだ幼く締まり、
細いスリットの隙間からわずかにピンク色の肉を見せ、
それでも精一杯僕を受け入れるために濡れていた。

「や……クロノアさん、そんなに、見ないで……。」

両手で顔を伏せ、指の隙間から潤んだ瞳でこちらを見つめながらそう言うロロは
なんだかとっても可愛くて、愛しくて。

「ごめん…でも見ないとできないから…ごめんね。
 ちょっとだけ…ちょっとだけガマンして………。」

手を添えて僕の先端をスリットに押し当て、ゆるゆると上下にこすり付ける。
ロロの漏らした透明な液体が絡みつき、僕の先端からロロのそこの間に透明な糸を引いた。
位置を定め、僕のピンク色の充血した先端を押し込むと、
ロロの柔らかな恥丘はゆっくりと開き、僕のものを飲み込んでいく。

「あ…あ…クロノぁ……さんの、が……。」

「このまま、最後まで挿れるよ? いい?」

荒い息を整え覚悟を決め、口元を引き締めて、ロロは小さくうなづいた。
僕はもう一度、入り込んだ先端が抜けないように注意しながら覆いかぶさると
腰を最後まで落とした。

草の上に赤い雫が、一つ、二つ。

* * * * *

「ミャーナ!! レオリナ見てみてあそこ!
 クロノアとロロがしちゃってるし! あんなとこで!
 アオカンってゆーの!? キャーやらしー! キャーやらしー! キャーやらしー! 
 白いのと黒いのが! キャー!」

飛行機の後部座席で双眼鏡を覗きながら、余った手をグルグル回しながらタットが叫んだ。

「あーいいな!いいな! クロノアと! いいな!
 あたしもー! あたしもー! あたしもー!」

双眼鏡はしっかりとクロノアたちの方へ向ける器用さを駆使しながら
タットは後部座席でジタバタと転げまわった。
飛行機がバランスを崩しグラグラと揺れた。

「……ほっとけ。」

レオリナは操縦桿を握ったまま、一瞥もせずに進路を90度転換する。

「ギャー見えないしー! 翼邪魔ー! レオリナちょっと曲がってー!」

(哀しみの王も、男なんだよな……)

タットの文句を聞き流しながら、ふとレオリナはそんなことを考え、
あわててかぶりを振ると、両手で自分の頬をパンと張った。

「哀しみの国を建て直してからだ!」

* * * * *

「いった……痛い…痛…いぃ………。」

ポロポロと涙をこぼしながらロロは歯を食いしばる。
僕のものを根元まで押し込まれたロロのそこからは血のすじが垂れている。

「だ、大丈夫、ロロ?」

あまりの痛がり方に僕は動くに動けず、
抜き差しならないままロロに問いかけるしかできなかった。
ロロは引き裂かれるような痛みに耐えながら、途切れとぎれにつぶやく。

「だ、大丈夫、ですから……そのまま、動い、て……。」

「でもロロ…。」

「大丈夫だから!」

思わず引ける僕の腰を両足で絡め、押さえつける。
勢いで僕のものはロロの中にさらに深くめりこんだ。

「いっ……う……大丈夫だから……
 この痛みもクロノアさんとの大切な大切な思い出だから……
 だから…最後まで……お願い…………っ。」

「う、うん。分かったよ…。」

僕はゆっくりと腰を動かす。
それでもロロは僕のもので膣内がこすられる度に歯を食いしばり声にならない悲鳴をあげる。

「ロロ…これじゃ、ロロが……。」

「いいんです……いいんです……私の…中に、
 ちゃんと……クロノアさんの、ください…。」

僕は気後れしながら、でも頷くと、大きく腰を動かした。
痛がるロロを見ちゃうと心配で気後れするから、何も考えないように無心に。
歯を食いしばるロロと、僕の荒い息と、
つながった場所から漏れる水音だけが、波の音に混ざっていった。

足の付け根あたり一体がむず痒いような感覚に襲われ、
ロロの中にもぐりこんだ僕の茎の中を何かが上ってくるような感触。

「う…ぁ…ロロ…僕っもうっ……いい?」

歯を食いしばったままのロロが強く頷くと同時に、
僕はロロの中で精液を迸らせた。
ビクビクと腰が震え、二度、三度、四度とロロの中に放つ。

全てを出し終えると僕は自分の体を支えきれず、そのままロロにのしかかった。
僕は汗びっしょりのロロの熱い体の上で、ロロの匂いをかぎながら
脱力に身を任せるしかなかった。

ずるっ、と、柔らかくなった僕のものが、ロロから抜け出し、
赤い雫だらけのロロの大切な場所から、白く濁った液体が
ロロの呼吸に合わせるようにあふれ出し、草の上に流れ落ちていった。

* * * * *

服を着込んだ僕たちはなんだか照れくさくて、お互いの顔を見れず
二人して背中合わせに寄りかかって座っていた。
背中がホワホワと温かい。

「夢見る黒き旅人…クロノアさん、名前のとおり全身真っ黒だったんですね。」

背中ごしにロロが恥ずかしそうに言った。
僕もさっき見たロロの真っ白な裸を思い出して、
なんだか自分の毛だらけで真っ黒な姿が恥ずかしかった。

「ありがとう、クロノアさん、思い出、大切にしますね。
 痛くって痛くって涙が出たけど、私、がんばれました。
 だから、大丈夫です……よね……。」

「うん……。」

僕はそれしか言えなかった。
ロロはすっと立ち上がった。
いきなり支えを失ってよろけながら、僕もつられて立ち上がった。

「それじゃぁ、お別れです。
 クロノアさん、元の世界に戻ってもお元気で!」

お尻についた草を払いながら、ロロは明るく微笑んだ。

「うん、ロロも……巫女試験、がんばってね。」

ホワン、と景色が歪んだ。
水面に波紋が広がるように揺れる景色の端で、
ポプカは相変わらず後ろ向きで顔を伏せたまま、肩をヒクヒク震わせていた。

しょうがないだろ、笑うなよ。
初めてだったんだから。


Morning bells are ringing,
Morning bells are ringing,
Ding,ding,dong.
Ding,ding,dong.