Five Years After in HUPONIA DUBMIX

■■ 1 ■■
「畜生……直しても直しても崩れる。この国はどうなってやがんだ。」

玉座の間の窓枠に両肘をついてレオリナが吐き捨てるようにつぶやく。
悔し紛れに窓枠の桟を拳で打つと、その振動で広間を取り囲む精緻な彫刻を施した真鍮の
装飾がドガァと轟音を立ててくず折れ、もうもうと砂煙を上げる。
チッっと舌打ちをしてレオリナはその装飾に歩み寄ると、装飾が固定されていた床の欠片
を拾い上げる。指先でつまみ力を加えるとその欠片はパキンと音を立てて砕け、黄色い霧
のような細かい埃を散らして砕け散った。

「磨き上げた真鍮も腐食してもう茶色になった。貼り直した砂レンガの床ももう風化した。
何度やってもそう……この国では何もかもがとんでもない早さで朽ちていく……。」

再び窓に戻りふてくされたように肘を突くと外を眺める。夕日の茜色に染まった外の景色
の彼方、タットの操縦する飛行機が資材を運ぶためふるふると小さな音を響かせて、ボル
クへ向かって飛んでいく。
シルエットで浮かび上がる石作りのアーチが遠い雷鳴のような地響きを立てて崩れていく。
アーチを吊っていたロープが引き千切れ、ヒィと鳥の鳴き声のような音を立てて跳ね上が
る。崩れたアーチは妙にスローモーションがかった動きで落下し、海の中へと沈んでいっ
た。

哀しみの王は広間の中央に立ち尽くし、うつむいたまま黙りこくっている。
その姿はこの哀しみの国と同じように、今にも崩折れ消えてしまいそうに見える。

「哀しみの国を復興するって息巻いたのはいいが、この有様じゃ復興どころかこれからも
崩れていく一方だな……。」

崩れていくアーチを眺めながらぽそりとレオリナはつぶやく。
誰に向けられた言葉なのかは明らかなはずだが、哀しみの王は微動だにせずうつむいたま
ま。受け取られないレオリナの言葉は宙を舞う。

「この国は、ずっと夕暮れのまま、なんだな。」

しばしの間を置いてレオリナは再びつぶやく。
建て直しのためにレオリナが滞在するようになってから、この哀しみの国は日没も夜明け
も訪れなかった。ここは今にも沈みそうな、そして決して沈まない太陽の薄暗く赤い光に
照らされて、何もかもが黒いシルエットになり浮かび上がる永遠の黄昏の国だった。

今まで自分のやってきた建て直し作業が全て無駄だったという徒労感からか、レオリナは
膝をつき窓枠に頬を乗せて一つため息をついた。

「僕はまた……忘れられたから………。」

突然近くで聞こえた声に驚いて振り向く。視界いっぱいに緑と白の毛並みが映る。いつの
まにか哀しみの王はレオリナの側に立っていた。
真っ赤な瞳も先のレオリナと同様外の景色にぼんやりと向けられ、まるで独り言のように
口の中でポツリ、ポツリと哀しみの王は言葉を紡ぐ。

「もう、うっすらとしか覚えていないけど……ずっと、ずっと昔、僕は……クロノアと一
緒に、暮らしていたような、気が。」
「いつも、優しい風の吹いていた青い草原で、クロノアと一緒に……。」

遠くを見つめていた哀しみの王の目がみるみるより薄黒い赤に染まる。
ポッポッ、と哀しみの王の足元に黒いシミが広がる。哀しみの王の大きな瞳からこぼれた
涙は風化した砂レンガに吸い込まれ、すぐに消えていった。

「あの時……クロノアは言ってくれたのに。」

肩を震わせポロポロと涙を零しへたりこむ哀しみの王の肩をレオリナはそっと抱き寄せる。
肩を合わせ自分の頬に哀しみの王の額を寄せながらレオリナは言う。

「おまえは…本当に、あたしによく似てるな……。」

哀しみの王の嗚咽による震えを肩と頬に感じながら、レオリナは思い出す。この世界を救
おうと偽のリングを作り出しクロノアとエレメントを奪い合ったかつての日を。エレメン
トの暴走で現れた自分の本当の姿を。
外界全てを拒絶し切り刻むように卵のような丸みと刃物のような鋭さを併せ持った体。感
情を隠し一途に思いつめ、周囲を見ない目隠し。目元に刻まれた隠しても隠しても溢れ出
る怨嗟の涙の印。

「あたしも、おまえと同じようにラ・ラクーシャの大巫女様から……世界が望んだ忘れ
物。」

その言葉に哀しみの王がピクリと震える。うなだれていた顔を上げ涙に塗れた瞳でまっす
ぐにレオリナを見つめる。

「僕は…まだここにいる。助けてくれたはずなのに、約束したのに。思い出してくれたは
ずなのに、忘れないでいてくれるはずなのに。僕はクロノアと一つになれない。まだ僕は
【哀しみの王】の僕のまま……。」

自分で言った言葉に自分で感情をゆすぶられ、また哀しみの王の赤い大きな瞳から涙があ
ふれる。
レオリナは哀しみの王の華奢な肩に手をかけ引き寄せる。レオリナの目の前に涙に潤んだ
大きな真っ赤な瞳。レオリナの顔が映りこむほどに澄み、覗き込めば真っ赤な哀しみに引
きずり込まれ溺れてしまいそうなその揺らぐ瞳の下に、レオリナは優しくキスをした。
唇を濡らす哀しみの王の涙…泪の海で浴びた潮風に似た…味が拡がる。

「泣けばいい、カナ、あたしとお前は似すぎてる……まるで鏡を見てるよう……。哀しみ
が哀しみとしてあること、少なくともあたしだけは、忘れやしないよ。」

哀しみの王は、その言葉を聞くとそのままずるずると崩れ落ち、レオリナの胸に顔をうず
めるようによりかかる。服に染み込んでくる暖かい涙の感触。嗚咽に震える肩を、背中を
レオリナは優しく掌で撫でる。
手のひらから伝わる哀しみの王の毛並みの下の体は恐ろしく華奢だ。肩は細く角張り、腕
はレオリナの半分の太さもない。背中は薄い筋肉の下にある肩甲骨とあばらの感触がじか
に伝わってくる。背骨の凹凸は撫で下ろすレオリナの手が波打つほどゴツゴツと目立つ。
それでもその下に、秘められている。か細い体を引き裂きそうなほどの激情…怨嗟が、哀
情が、孤独が、熱い。

■■ 2 ■■
「なぁカナ……おまえの体は、あったかいな……。」

耳の下に両手を添え、胸に埋まって震えていた哀しみの王の頭を持ち上げる。もう途切れ
途切れに、横隔膜を揺さぶって息を無理矢理押し出すような嗚咽を漏らす哀しみの王の半
開きの口に、レオリナは再び唇を寄せる。

「んっ……うくっ……うぅ……っ」

レオリナは舌先で哀しみの王の歯をなぞる。歯並びの凹凸の感触を下で追いかけていくと、
小さな小さな犬歯に触れる。そこだけ形が違いかみ合わない歯の隙間から舌を優しく差し
挿れ、口を開かせる。哀しみの王の口は抵抗もなくするりと開いた。レオリナの舌が哀し
みの王の舌を探り当てる。哀しみの王のサリサリとした舌はそれを求めるように絡み付い
てくる。お互いの唾液を啜りあい、舌の感触を存分に確かめると、二人は口を離した。

「ラクルドゥ(助けて)……。ラクルドゥ(助けて)……。」

口を離した哀しみの王はつぶやく。

レオリナは哀しみの王から体を離すと立ち上がり、背を向けて歩き出す。哀しみの王に背
を向けたまま、頭に手をかけ、大きな髪留めを外す。予想より遥かに長い鮮やかなタンジ
ェリンの髪が広がる。
頭の上からサラサラと流れる水のように広がり落ちるレオリナの髪を、惚けたように眺め
る哀しみの王の目の前でレオリナは長いブーツを脱ぎ捨て、スカーフを引き抜くとコート
もシャツも脱ぎ捨てる。腰を締めるベルトを引き抜くと、ブーツの半分もないズボンはそ
のままするりと床に落ちた。
長年の空賊生活で鍛えられたレオリナの背中は肩から腰に向かって美しい流線型を描いた
筋に覆われていたが、そのプロポーションは間違えようもなく女性のものだった。

「ユゥラファ、プゥ(助けに、きたよ)……なんて。」

はにかみながら振り向いたレオリナの豊満な乳房が哀しみの王の前に露わになる。それを
見た哀しみの王の顔は毛並みの上からも分かるほど朱に染まる。体をめぐる血の流れが急
激に速くなり、全身が熱を帯びて毛がざわりと逆立つ。下半身に集まり始めた血は哀しみ
の王の股間のものを膨らませ始め、哀しみの王は慌てて足の間に手を挟んですくみこむ。

レオリナは恥ずかしげも無く哀しみの王の傍へ歩み寄り、手をとって哀しみの王を立たせ
両手で頭を抱えるように再び抱きしめる。遮るもののない、素肌の乳房はまるで触れてい
るのに感触のないほど柔らかく、暖かく、哀しみの王の顔を包み込んだ。
そのまま体重をレオリナに預けようと体を寄せると、股間で膨らんだものがレオリナの腿
の間をすっとかすった。慌てて腰を浮かせ体を離そうとする哀しみの王を、レオリナは引
きとめ、背中に優しく手を添えて自分の体に押し付ける。薄く小さな布一枚で覆われたレ
オリナの足の間を、硬くなった哀しみの王のものがつんと突き上げる。乳房に埋もれたま
ま、哀しみの王はぷるっと震えた。

「逃げなくてもいい、カナ。おまえも、でも、ちゃんと男の子なんだなぁ……。」

レオリナは足の間を突き上げてくる哀しみの王の熱く脈打つものを両腿で挟み、腰をゆる
くくねらせて刺激する。足の間から突き上げてくる刺激に耐えられず、哀しみの王は胸に
埋もれていた顔を上げ、ぷは、と息をつく。真っ赤な瞳は未だ潤んでいたが、もう先の哀
しみによるものとは違っている。

「初めてかい?」

レオリナは哀しみの王の頬を優しく撫でながら言う。哀しみの王の頬がさらに赤みを増す。
しばらくの沈黙の後。

「うん……女の人とこんなことするの……初…め……て……。」

途切れ途切れに、恥ずかしそうに言った。レオリナはふと微笑むと、哀しみの王の右手を
とり、秘所を覆う布の中へと導く。

「じゃぁ、触ってごらん。ほら、あたしの……ここ。」

レオリナの手に導かれたそこを哀しみの王はおどおどとまさぐる。太腿と腰の合わさるラ
インに沿って布の中で下へと手を滑らせていくと、他の場所よりわずかに柔らかいかすか
な膨らみ……恥丘……に触れる。柔らかな脂肪の下にすぐ骨があるような、でもちょっと
でも強く押すとへこんでしまうような不思議な感触。湿っぽい空気が指先にまとわり付い
てくる。

「もう少し下………そう…んっ……。」

レオリナの肩がぴくりと跳ね上がる。哀しみの王の指先がレオリナの秘所に触れたのだ。
哀しみの王の指先に伝わってくる、猫の皮のような感触の弛んだ包皮に包まれたクリトリ
ス、尿道腔のかすかな膨らみ、ぽってりとした感触の陰唇。

どこもうっすらと濡れ、一瞬生理的嫌悪感を催すような感触だが、同時に体の内から何か
ふつふつと燃え上がるような気がしてくる。それに加えて初めて女性の恥ずかしいところ
に今、正に触れているという思いが、哀しみの王の情欲を奮わせる。
陰唇の間を割り、指がさらにその奥へ届く。ねっとりと濡れた男を受け入れる深い穴、指
先を挟み込み甘噛みするように緩く締め付けてくる肉の壁。

「……あたしの…カタチ……分かった…かい?」

鼻から抜けるような吐息の合間合間にレオリナが言う。黄昏時、茜づいた薄明に照らされ
全身が赤く染まる中でもなおはっきりと分かるほど頬を朱に染めている。

「あんたから…ケモノの匂いが、するよ……とっても良い…匂い。」

レオリナに言われて初めて意識を指先から逸らし鼻に集中する。自分の匂いは分からなか
ったが、鼻の奥に、何かむずむずさせるような匂いを感じ取る。何かの花のような、動物
のような、饐えたような、麝香に似た。レオリナの吐息の匂いだった。

「レオリナの、息…も……良い匂いがする………。」
「そうかい?」

そう言いながら、不思議そうな目で見上げる哀しみの王のあごにレオリナは手を添えて顔
を近づける。またキスをされるのかと思い開かれた口を逸れ、レオリナの唇はその上にあ
る小さな鼻につけられた。
鼻先をレオリナの舌が這う。鼻先を唇で挟み、レオリナはゆるゆると息を吐く。哀しみの
王の鼻腔を先にかいだあの匂いが強烈に通り抜け、口へと流れていく。しっぽの付け根か
らピリピリするような熱を持った感覚が頭の中を通り抜け、空へ向かって突き抜ける。

■■ 3 ■■
「あ……ぁ…ふぁ……」

あまりに強烈な感覚に膝の力が抜け、哀しみの王はぺたりと床にしりもちをついてしまう。
まだ鼻腔の奥にレオリナの香りが溜まり、それが背中が痺れるような感覚を幾度も幾度も
喚起する。
レオリナは尻餅をついた哀しみの王に覆いかぶさるように膝をつき、四つんばいになると
哀しみの王の首筋に顔を埋め、耳元でささやく。

「あんたの匂いも、もっとかがせておくれよ……。」

レオリナの頭が首筋から体毛を分けながら下へ滑り落ちていく。鎖骨へ、胸へ、腹へ、そ
して、哀しみの王の硬くそそり立った性器へ。
体毛に覆われ普段は見えない哀しみの王のそれは、今は体毛を割って表に顔を出し、ひく
ひくと脈打っている。透明な露をあふれさせるその先端にレオリナは鼻先を寄せ、大きく
息を吸う。

「濃い…良い匂いだよ……とっても……熱くなる……。」

目を薄く閉じ、大きく吐息を漏らしながらレオリナはうっとりと言う。哀しみの王と同じ
ように、レオリナの体の内にもしっぽの付け根から駆け登るような情欲の刺激が走る。
四つんばいで持ち上げられたレオリナの尻の、大切な場所を覆い隠す布にじわ…としみが
拡がる。布の隙間からつ、と透明な液体が腿を伝って垂れ落ちていく。
レオリナは哀しみの王の勃ち上がったそれの先端に口を付けると、愛撫もなしにいきなり
そのまま頭を落とし一気に口の中に根元まで含む。

「んぁっ! あっ!」

敏感な箇所をレオリナの唇が勢いよくこすり落ちる強烈に刺激に、ビクンと哀しみの王の
両足が跳ねる上がる。会陰の辺りからうずうずとした感覚が、肉茎の先端まで這い登る。
初めて触れたレオリナの秘密の場所の感覚と、吐息の香りで限界まで触発されていた情欲
が、耐え切れずに破裂する。

ゴビュッ!

レオリナの口中で哀しみの王の性器は弾け、大量の白濁した精液がほとばしる。それはレ
オリナの上あごを叩き、幾筋かは唇の隙間から飛び出しながら、口腔を白く汚していく。

「ぅぷっ! ふぁっ……!」

急な射精にレオリナは思わず口を離してしまう。口から飛び出した哀しみの王のそれはさ
らに空中に白い線を描き、レオリナの顔まで汚していく。

「あっ ぁ ぁぅっ! うくっ!」

肩をすくめびくっびくっと痙攣する哀しみの王。射精は止まらず、さらにレオリナの顔に
幾筋もの白い跡を付け続ける。
レオリナは口中に広がる苦いような、しょっぱいような、口の中に絡みつく味と、目前で
液をほとばしらせ続ける哀しみの王のそれの淫猥な映像に、うっすらと笑みを浮かべる。

レオリナはやっと全ての精を放ち終えおとなしくなった哀しみの王のそれを指先でつまみ、
亀頭から垂れる精液の残滓に舌を這わせ、哀しみの王の欲情の味を求め口へと運び込む。
射精したばかりで感覚が尖った性器を舌が這い回る激しい刺激に、哀しみの王は喘ぎなが
らまたびくびくと痙攣する。

「ん…んー……。」

こぼれた精液を全て口に含むとレオリナはやっと頭を上げ、口の内壁にこびりついた精液
まで舌でこそげ、こくん、と一飲みに嚥下する。

(あ、ぼ、僕の出したの……飲んだ……。)

今まで見た事もないようなレオリナの白濁液まみれの恍惚とした表情と、上下に動く喉を
見ながら悲しみの王は射精の余韻に揺すぶられ、惚とした意識の中で思う。哀しみの王の
足の間のものは、するとムクムクと力を取り戻していってしまう。
レオリナは再び哀しみの王に覆いかぶさると、耳元で囁く。

「あぁ……凄い濃いぃケモノの匂い。あんたちゃんと、男の子だねぇ……。しかもすぐに
またこんなに硬くなって。」

言葉と共に流れるレオリナの吐息は、先の香りに加え自分の放ったものの匂いが混り哀し
みの王の鼻をつき、まるで自分そのものとレオリナそのものが混ざって一つになってしま
ったような感覚を覚えてしまう。

レオリナはクスクス笑いながら哀しみの王の背中に手を回し、力を込める。華奢な哀しみ
の王の体はやすやすと浮き上がり、二人は床の上でごろんと半回転する。先とは逆に哀し
みの王がレオリナに覆いかぶさる体勢になると、レオリナは潤んだ瞳で哀しみの王をまっ
すぐ見つめて言う。。

■■ 4 ■■
「な……カナ。今度は……どうするか分かってるよ…な?」

レオリナの問いに、哀しみの王はこくんとうなずく。次にすることを考えると、哀しみの
王の、もう十分に硬くなったそれはますます硬く、大きくなってゆく。血流を股間のそれ
に奪われ頭に回らない。眩暈のような感覚に思考を奪われ、哀しみの王は本能のおもむく
ままに体をずらすと、レオリナの足の間に入る。
レオリナの開いてくれた足の間を隠す小さな布は、もうぐっしょりと濡れ、あふれた愛液
で内股まで濡らしていた。

哀しみの王はその布に手をかけ、レオリナを見る。レオリナは優しく微笑んでこくん、と
うなづいた。レオリナの秘所を隠す、濡れた小さな布を足へを引き下ろしていくと、レオ
リナの足の間から透明な粘液の糸がつぅと糸を引いて、切れた。

中ほどまで下ろした所でレオリナは自分から片足を抜き、足先にその小さな布を引っ掛け
るともう片方の足首までそれを下ろす。そのまま足をゆっくりと広げると、哀しみの王の
前にレオリナの大切な場所が露わになる。
指先で触れ、確かめた感触の通りの形。ただそこは指で触れた時よりさらに濡れそぼり、
膣口から溢れた愛液は会陰を伝い、その下の肛門や尻まで濡らしていた。

「余計な前戯は……いらないよ……早く…あんたのその……硬くなってるやつを……一番
奥まで………。」

レオリナは仰向けのまま腰を浮かせて哀しみの王を誘う。浮いた腰と乾いた砂レンガの床
との間にレオリナの愛液が糸を引いてクチュ、と粘液質の水音をたてる。

「う、うん…。」

哀しみの王は自分の硬くなったものに手をそえ、もう怒張しすぎ、挿入のために角度を変
えるだけで痛むそれを無理矢理に曲げてレオリナの膣口に自分の先端をあてがう。亀頭の
先端にレオリナの漏らす粘液がまとわり付いて滑り、かえって狙いが定まらない。
幾度かの試みの後、やっと膣口の中に亀頭の先端が納まる。愛液にまみれたレオリナの肉
襞が挟みこむようにそれまとわり付き、固定する。
哀しみの王はレオリナの胸の両脇に手を付き覆いかぶさると、そのまま一気に腰を落とし
た。

「んあぁぁぁぁぁっ!」

深々と突き入れられた哀しみの王の性器に自分の秘所を奥まで押し広げられてレオリナが
歓喜に喘ぐ。腹がびくびくと痙攣に打ち震え、腰はより深い挿入を求めて跳ね上がる。

「ぅあ……ぁ……き、気持ちい……っ」

哀しみの王は股間から押し寄せる快感に腕の力が抜け、レオリナの上に沈みこみながら思
わず呟く。指では触れなかったレオリナの秘所の最奥は、入り口とはまた違う、濡れそぼ
っているはずなのになぜか少し乾いたような質感で、哀しみの王の性器の敏感な先端を包
み込んでざらざらとこすり上げていく。
沈みこんだ悲しみの王の頭をまるでそのためにそこに在るかのように、ぽふんとレオリナ
の豊満な胸が受け止める。

「は…ぁ…★ カナ……気持ちいいよ……。そのまま…しておくれ。」

哀しみの王の腰に足を絡め、ぎゅうぎゅうと引き寄せながらレオリナは喘ぎの中で途切れ
とぎれに言う。押し付けられた腰に合わせてさらに哀しみの王のそれはレオリナの中に潜
りこんでいく。
うっすらと汗ばんだレオリナの体からは、吐息と同じ匂いが濃厚に立ち昇る。体中をその
匂いに包まれながら、柔らかなレオリナの体に包まれながら、哀しみの王は無我夢中で腰
を動かし始める。

(なんかもう……分かんない、分かんない。)
(レオリナと混ざって、自分が溶けちゃいそう。)

哀しみの王とレオリナの喘ぎと荒い息遣いが混ざり響き渡る。接合部からは淫猥な水音と、
激しく突き上げられる度に中に入り込む空気の抜ける卑猥な音が立ち、乾いた玉座の間の
空気を潤ませていく。
哀しみの王はたわわな乳房を手で揉みしだき、顔を埋め、きゅんと勃ち上がったレオリナ
の乳首を口に含む。自分を強く抱き寄せるレオリナの爪が背中に食い込む痛みすら心地良
い。

「はっ あっ…あはっ……か、カナっ カナっ!」

呼び求めるレオリナの声に胸に埋もれた頭を上げると、そこをグイと掴まれ引き寄せられ
る。ガチンと口に衝撃と脳天に抜ける痛みが走る。唇を交わそうと勢い余ってお互いの歯
がぶつかり合ってしまう。レオリナはかまわず哀しみの王の舌を求めてくる。哀しみの王
もそれに応える。舌を絡め、お互いの唾液を交換するなか、どちらかの歯茎に歯が食い込
んだのか、血の味が混ざるの感じる。その痛みすらもまたお互いの欲情を高める刺激にし
かならなかった。

「んふぁ…っあっ……でちゃ、でる。でるぅ……っ!!」
「あたしもっ! あっイ……っ! イくっ!」

仙骨のあたりからゾワゾワと這い登るような、悪寒に近い感覚に哀しみの王の腰がビクン
と跳ね上がる。出していいのか聞く間も無く。

びゅるっ びゅっ びゅくっ!

哀しみの王の性器はレオリナの中で弾け、精液を垂れ流す。口や手でされるのとは違う、
レオリナの肉襞に輸精管を締め付けられながらの射精は、勢いは無いが腹の内からゆっく
りと燃え尽きていくような快感。全身をふるふると震わせながら、惚けた顔で哀しみの王
は喘ぐ。半開きの口から射精の律動にあわせて漏れる吐息に混じり、唾液が飛沫を上げて
飛んだ。
レオリナも同時に達する。腰を跳ね上げあごをのけ反らせながらびくびくと全身を波打た
せるように痙攣を繰り返す。

「は ぁ あ……あ……………。」

二度、三度と腰を震わせレオリナの中に精を放ち終えると、哀しみの王は荒い息をつきな
がら再びくたりとレオリナの体に身を沈める。体を合わせたまま、二人は絶頂の余韻に身
を任せてお互いに荒い息を漏らす。柔らかくなった哀しみの王のものがレオリナの中から
自然に抜け落ちた。

今まで入り口を塞いでいたものが引き抜かれたレオリナの秘所から、ごぽっ…と哀しみの
王の放った白濁した液がこぼれ出し、尻に白い筋をつけてゆっくりと流れ落ちる。

■■ 5 ■■

「カナ……クロノアが来なくなってから、どれだけ経ったっけ……?」

玉座の間の窓際に背をもたれ、何ともなく天井を見上げながらレオリナが問いかける。哀
しみの王はそんなレオリナの肩に身を寄せている。お互いの手を握り、指を絡めてもてあ
そびながら。
視線を空に飛ばし、しばらく考えてから哀しみの王は応える。

「……五年。」
「……もう、そんなになるか………。」

哀しみの王の表情にまた陰がおち、無言の時間が流れる。

「なぁ、カナ。」

先に言葉を発したのはレオリナの方だった。哀しみの王はレオリナに顔を向ける。先ほど
自分の放ったものに汚れた顔だったが、その表情はいつになく穏やかで、何か暖かなもの
を感じる。

「クロノアはおまえの事も、あたしの事も、みんなまた忘れちまったみたいだけど……あ
たしはあんたの事ずっと考えてるんだ。どうしたら、おまえがラクァン(安らぐ)してく
れるか、どうしたらおまえがジョリア(楽しむ)してくれるか。」
「でも、あたしにはそんなことできないんだ。あたしは、あんたと同じだから。あたしも
忌まれしレオリナ、ポプナ(哀しみ)の者……。この国の再建もできなかった、できる事
といえば、さっきみたいな事………。」

さっきまでしていた事を思い出し、哀しみの王は思わず赤面して視線を逸らす。
レオリナはそんな哀しみの王の肩を掴み寄せ顔をむりやり自分の方に向け、考え考え言葉
をつむぐ。

「なぁ…カナ……一緒にならないか。クロノアの事は忘れて……哀しいけど………二人な
ら…二人一緒にいれば………まだ、少しは……辛くない、と…思うんだ。」

レオリナの目を覗き込む哀しみの王の真っ赤な瞳が再び赤みを増してゆく。目尻の端から
ポツ、ポツ、と涙がこぼれ始める。突然の涙に慌て、レオリナは重ねて言いつのる。

「わ、悪かった! クロノアとじゃなきゃイヤだよな、そうだよなっ!」

唇を噛みながら哀しみの王は激しくかぶりを振る。こぼれた涙が散り、黄昏の陽に照らさ
れてチリチリと光を反射させながら床に落ちる。

「う……ひぐ……じゃな……くて……。じゃな……くて……。うれ、し……一緒に……。
レオリナ……と………。」

しゃくりを上げながら哀しみの王は否定を繰り返す。嗚咽混じりのその言葉は酷く聞きづ
らかったが、内容を把握するとレオリナは安堵の息をついて言う。

「泣かなくていいよ…カナ。良かった……本当に、あたしも、何ていったら言いか分から
ないけど……嬉しい。」

どちらからともなく、再びレオリナと哀しみの王は口付けを交わす。窓を背に映える二人
のシルエットは輪郭も曖昧で、誰ぞ彼とも分からない。まるで時間が止まったような夕暮
れの中、二人は口を離すとお互いを見つめあい、声を合わせる。

「【ぼく/あたし】は【哀しみの王/レオリナ】。」

互いの手を取って。

「【ぼく/あたし】はラ・ラクーシャの大巫女に【封印され/忌まれ】いなかったことに
された、世界が望んだ忘れ物。」

取った手の感触がもう無い。

「【ぼく/あたし】は【夢見る黒き旅人の記憶の欠片/クレアの子供たち】。」

互いに見つめあい。

「【クロノア/夢見る黒き旅人】が僕らをまた忘れるのであれば。」

まるで鏡を見ているように違和感もなく。

「【ぼく/あたし】は、哀しみの【王/王女】。」

すぅっ、と玉座の間を満たしていた茜色の光が翳てゆく。懐かしささえ呼び覚ますような
暖かな赤い光が消え、空気が徐々に冷めてゆく。窓の外を見ると、太陽はもう水平線にほ
んの僅かにその稜線の端を見せるのみ。今までシルエットを見せていた廃墟が闇に飲まれ、
まるで陽炎のように消えてゆく。
暗みを帯びて藍に染まる空に、今まで隠されていた星々が顔を出し、大きな、まるで猫の
爪で空を引っ掻いたような細い、細い月が。

「夜が来る………永遠の黄昏の国の陽が、落ちる……。」

誰の声だろう。

END.

ついでに自分で自分の書いたものをダイナシにしてみたりする(´・ω・`)ス