Weak Point

風吹く村、ブリーガルに住む1人の少年がいました。
彼の名前はクロノア。いつも元気いっぱいな彼ですが、今日はいつもと違うようです。
「はぁ……」
ブリーガルの鐘の丘で、クロノアは膝を抱えて遠くをぼんやり眺めながら溜め息をついていた。どれくらい長い事居ただろうか、そこへ聴き覚えのあるバイク音が聞こえ、近くに止まったのが聞こえた。

「よう。何やってんだ?」
ふと、聞き覚えのある声のする方に振り向いてみた。そこには、赤いバイク―レッドクラン―に乗ってやって来た1人の男がいた。二丁拳銃に金色の毛並み、両目がつり上がっている、彼の名は…
「ガンツ…」
「お前、こんな所で何溜め息ついてんだ?」
ガンツと呼ばれた男はバイクから降りてクロノアの傍に腰掛ける。
「べつに……ガンツこそ、ここに来てどうしたの?」
「あ?俺か?…別に、何となくここに来てみただけだ。」
ホントはクロノアを探しに来た……なんて言えるわけねえ…と、心の中でガンツは思った。ふと、クロノアの顔を見ると、その黄色の瞳から深い悩みが映っているように見えた。そこからガンツは、クロノアが何を悩んでいるのかを想像できた。
「クロノア。…お前、カナヅチの事で溜め息ついていたのか?」
「…!!」
自分の考えていたことが見抜かれて、驚きを隠せないクロノア。ガンツは、いつもの表情で
「お前は考えがすぐ顔に出るんだよ。で、何で今更んな事悩んでいるんだ?」
「!…ガンツにとってはそんな事かもしれないけど、ボクにとっては重大な事なんだよ!!」
ガンツの最後の言葉にクロノアは反応し、少し怒ったように言い返す。ガンツは、へっと軽く笑いながらクロノアの頭にポンと手を乗せた
「やっぱお前はそんくらい威勢がねえとな。」
「え……?」
クロノアはガンツの言葉にキョトンとしていると、不意にガンツがクロノアの額に唇を寄せた。

「!!/////」
突然の事にクロノアは顔を赤らめながら唖然とした。
「しおらしくなったお前はらしくないって事だよ。…っと。」
暫し呆然としているクロノアを抱えながら立ち上がり(いわゆるお姫様抱っこというもの)、バイクに乗りこんだ。
「狽ゎっ///何するの!?」
はっと気づいたクロノアは当然の事ながらガンツの上で慌てふためく。そんなクロノアを押さえつけながらガンツはぴしゃりと言った。
「黙ってついてこい。…てか、連れてくがな」
「え?う…うん…」
訳も分からないが、とりあえず従っておくことにするクロノア。目的地も知らぬまま、バイクは動き始めるのだった。