姦病 

ガンツはクロノアの家の台所で、慣れない手料理に悪戦苦闘していた。
というのも風邪を拗らせて寝こんでしまったクロノアの為だった。
「なんで俺がこんなことしなきゃいけねぇんだよ・・。」
おかゆに塩をパラパラと加えて、罰が悪そうに呟いた。
そしてグツグツと音を立てて煮えるおかゆを見て、はぁ、とため息をつく。


数時間前の事である。
バイクに乗っていて、ふと釣りをしているクロノア達を見つけたガンツはクロノア達の所まで行った。
この時は時間つぶし程度に考えていた。
「よぉ。なんか釣れたか?」
しかし、クロノアはガンツの方を振り向かず水面を見つめたまま「まだ」と短く答えた。
クロノアのバケツだけ魚が一匹も入っていない。クロノアの表情が枯れた枝のようになっているのはこのせいか。
ガンツがクロノアのバケツを見ていると、横のチップルが「自分は大量ッスよ!」と元気よく言ったきた。
チップルがそう言った後、クロノアがジロッとチップルを見たのでチップルはしまった、といった様子で手を口に当てた。
このクロノアの態度を見て、いつもみたいにガンツはクロノアを小馬鹿にしてやりたくなった。
ガンツが来てから数十分経った。
未だにクロノアは小魚一匹釣れない。
それどころか餌だけが持って行かれるという事が何度も続いた。まるで初心者のようだ。
ガンツ自身は何もせずただ、理由もなくその場に寝転んで時間が経つのを待っているだけだった。
「うわっ!ポプカそれすごいッスね」
ぼーっとしていたガンツの横でチップルが大声をだした。ガンツは急に現実世界に戻されたような気分だった。
ポプカが手に持っている魚はポプカの体長と大して変わりない大きさの魚だった。
チップルはポプカの方に駆け寄った。
クロノアはポプカの魚からすぐに眼を離し、また池に眼をやった。
小魚一匹掛からない事に焦りと苛立ちを感じているのだろう。そんな時に横で大きな魚を釣られたら余計に腹が立つ。
暇だったガンツもポプカの方に行き、目を見張るような大きさの魚に眼をやった。

「魚拓でもとったらどうだよ?」
ガンツが嬉しそうなポプカを見ながら言った。
「そうしよっと。」
ポプカが魚を見ながら弾んだ声で言った。
「皆で食べるッスよ。」
「本当は池に戻さないといけないけど、今日だけな・・。」
ポプカとチップルがにしし、と笑った。
ガンツがポプカとチップルのやり取りを聞いていると後ろからばしゃばしゃという音がしたのでガンツは振りかえった。
クロノアの竿に当りがきていた。
竿の揺れ具合からしてなかなかの大物だろう。
チップルとポプカの眼はクロノアの竿へと移ったが、ガンツはクロノアを見ていた。
クロノアの顔には生気が戻り、必ず魚を釣り上げようと必死な顔になっている。
ガンツは、やっぱりこいつはこうじゃねぇとな、と勝手に一人で感心していた。
クロノアはひたすらリールを巻いているが、魚もなかなか手強いのか、一向に水面に姿を現さない。
長期戦か?とガンツが思った時だった。
魚の頭が姿を現したかと思うとクロノアは一気に魚を引き上げた。
「どう?」クロノアは魚を持ち上げると得意げに三人に見せた。
「うわっ、俺のよりでかそう」
ポプカが驚きと焦りが混じった様子でクロノアの魚を見上げた。
「早くバケツに入れるッスよ。」
クロノアは豪快に跳ねる魚を釣り針から外した。
すると魚はチャンスと言わんばかりにクロノアの手からすり抜ける様にして落ちると、そのまま水の中に跳ねてしまった。「あっ!!」
呆然と固まるクロノア。ポプカとチップルは魚が去り、静まり返った水面を見つめる。
「バーカ、浮かれてるからそうなるんだよ。」
ガンツはクロノアをちゃかした。クロノアはすぐに何か言い返してくるので、それが楽しいのだ。
ところがクロノアはガンツの予想とは違う行動をした。
クロノアは池に飛びこんだ。

その行動に今度はガンツが呆然としていた。
「ア、アニキ・・?」チップルとポプカが水面を覗き込む。
しかし水面には気泡が漂っているだけでクロノアは見えない。「た、助けにいかないと!」
そう言うとチップルはグローブを外し、水に飛びこんだ。
「チップル一人じゃ不安だし俺も行く!」ポプカもチップルの後に続いた。
ガンツがポカンとしている間に三人は水の中に飛びこんだ。
「おいおい大丈夫かよ。」
ガンツは少し心配になって池を覗き込んだ。

ポプカとチップルはクロノアを抱えて水面に顔をだした。
「お゛もい・・・」クロノアの耳を肩に乗せながらポプカがイライラと言った。
ガンツは三人が上がってくるのを確認すると、手袋を外して手をのばした。
「ほら、つかまれ。」
ガンツは先に一番きつそうなポプカを引き上げて次にチップルとクロノアを引き上げた。
「どうもッス・・。泳げないのにいきなり飛び込むなんて・・・」
チップルはクロノアを見ながらせきを切ったように言った。
クロノアは地面にぐたっと仰向けに倒されている。
「起きろクロノア!」
ポプカはクロノアの腹にエルボーを食らわせた。
クロノアは嘔吐するときのような声を出して飛び起きて、キョロキョロと辺りを見回した。
「はにゃ?どうかした‐‐あ!魚は?!」
「魚ならとっくに逃げたぜ。」
ガンツは呆れた口調で言った。
「あーあ・・・ん?」
クロノアはキョロキョロと自分の体を見回した後、震えた声で言った
「な、なんで僕濡れてんの?!」
「ンだよこいつ無意識で水ン中飛びこんだのかよ。」
その言葉を聞いたクロノアは自分を指差して、バッと池を見た後、体を震わせた。
「まぁ死んでも水の中には入らないような奴だからな。」ポプカが口元に手をあてて言った。
「それよりアニキが無事でよかったっスよ。」チップルがグローブをつけながら言った。
「あ、もしかしてチップルが助けてくれたの?ありがとう。」
「あと俺もな。」ポプカが空かさず言った。

「もう、ポプカの魚より大きかったのに。残念だよ。」
「じゃあもう一回池にルプルドゥーしてこいよ。」ポプカが口元をにやっとさせて言った。
「想像するだけでも恐いよ・・。」
クロノアはさっきポプカに殴られたお腹の痛みが今になってきたのか、お腹をなでながら言った。
無意識の内にねぇ・・フン、こいつらしいといえばこいつらしいか。
「おい、クロノアまだ釣り続けンのかよ?」
「当然さ!まだ一匹も・・クシュン。」
クロノアはくしゃみをした。
「だから、ずぶ濡れのままで釣りを続けンのかって聞いてンだよ。」
するとクロノアは上着を脱ぎ始めた。
「だからってここで脱ぐなよ・・」ガンツは呆れたようにため息をついた。
「えー?誰も見てないしいいでしょー」」
クロノアは上着を脱ぐと雑巾を絞るようにして水を絞った。
「アニキそれで帰るつもりっスか・・?」
チップルが異様なものを見るような目でクロノアの上半身を見ながら言った。
「うん。だって君やホラ、スイリューさんといっしょだよ。」
「あ、そうっスね。」チップルは納得したように言った。
「許される人とそうでない人がいると思うけどな。」
ポプカが帰る仕度をしながら言った。
三人が楽しそうにやり取りをしている中、ガンツだけはボーっとクロノアの上半身を見つめていた。
その後、クロノアに「家まで送ってよ!」とせがまれ、ガンツは仕方なしに家まで送ってやった。
だが、その後クロノアは気分不良を訴えベッドで寝こんでしまった。
ここでクロノアを見捨てて、自分の行きたいところへ行くことだってできたのだが、結局クロノアを看病してやる事にしてしまった。
「何で俺はあいつに対してこんなにあめぇんだよ・・」
自己嫌悪をしつつ、鍋の火を弱めた。
なんで俺はあいつに対してあめぇのか・・。俺を頼り、信じ、変えようとしてくれたからか?
いや、逆に俺があいつを頼って、信じているからここまであまいのか?
ガンツは胸がいっぱいになってしまい、首を振って思考を掻き消した。

ガンツは手袋をした手でおかゆを持って、クロノアの部屋に持って行った。
クロノアは布団から顔だけを出して、眼を瞑っていた。
「おい、飯持ってきてやったぜ。」
だが、クロノアは返事をしない。
寝てると判断したガンツは苦労して作ったおかゆを苦い表情で見た後、すぐ横にあった小さな机に置いた。
せっかくおかゆを作ったのに骨折り損か、と思いクロノアの表情に眼を戻した。
気持ちよさそうに寝やがってよ・・
慣れない事をした疲れが出てきたのか、妙に体がだれたガンツは手を頭に当てて、ゆっくりと寝転がった。
その時、ガンツの頭にこんな考えが浮かんだ。

ちょっといたずらしてやるか。

ガンツは小声で笑いながら、クロノアの鼻をつまもうとしてゆっくりと手をのばした。
クロノアがどんなリアクションをするかと思い浮かべると、それだけで笑える。
ガンツがクロノアの鼻をつまもうとすると急にクロノアが寝返りをうち、ガンツの毛に蓋われたの胸元に顔を突っ込んできた。
ガンツはクロノアを起こさないように、驚いて声を上げるのを必死で我慢した。
「さっき僕の鼻つまもうとしたでしょ? その仕返しだよ。」
クロノアの行動に驚くガンツを尻目にクロノアが言った。
「ンだよ起きてやがったのかよ? それより離れろよ。」
そう言ってガンツは無理やりクロノアを引き離した。
「僕さっきから頭がフラフラしてるんだ。だからゆっくり寝かせてよ・・。」
よく見てみるとクロノアは顔を紅潮させ、汗をかいていた。
眼もぼーっとしており、いつもの元気な表情とは打って変り、しんどそうな顔をしている。
こういう顔してるこいつって・・・・結構かわいいじゃねぇか。
そう思った時、ガンツは胸の鼓動の高鳴りに気付いた。自分でも驚くほどドキドキしている。
不思議とクロノアをかわいいと思った事に変な感じがしない。
クロノアは再び布団の中に潜った。
ガンツはクロノアでもっこりと膨らんでいる布団に眼をやると、布団に入りたい、という衝動に駆られた。
ジャケットを脱ぎ捨て、何かに後押しされるように、ガンツは布団に潜りこんだ。
ガンツの侵入に驚いたクロノアは布団の中で騒いだ。
「なに?!もう寝かせ・・うわっ!!」
突然クロノアの叫びは止まった。

ガンツの唇に遮られたのだった。
わけがわからないといった眼で見つめてくるクロノアを、静かに見つめ返すガンツ。
ガンツは自分の高い鼻が邪魔にならないよう、顔を少しだけ斜めに反らして舌を入れた。
クロノアはきっと初めてなのだろう。この感覚に言い知れぬ不安を覚えるはずだ。
表情を歪めるクロノアを見て、目元を笑わせ、グイグイと舌を入れ、掻きまわす。
熱で弱った腕でガンツを放そうとあがくクロノア。
だが、そんなクロノアの頭に手を回し、さらに顔を近づける。
唇だけじゃ物足りない、ほっぺも、いや、体も全部くっつけたい。
ガンツは身をよじりクロノアを感じた。
たっぷりと感じた所で、噎せるクロノアから、ゆっくりと舌を抜き出す。
「ケホッ・・ケホッ・・」
眼には涙を潤ませ、小さくせきをするクロノア。
もうあがく気力もないのか、それとも次の行為を要求しているのか。
ガンツは腕をゆっくりとクロノアのパジャマに運び、ボタンを外した。
一つ一つゆっくりと放して行く。
ボタンが全て外れた所で、ガンツはクロノアのお腹を愛撫した。
撫でる度にクロノアは「まにゃ・・・ふにゅ・・・」と喘ぎ声を発する。
ガンツは自然と笑みがこぼれた。
「随分と熱ってやがるなぁ。今、冷ましてやるから安心しな。」
ガンツはクロノアの臍の周りを嘗めた。
「こ・・こしょばい・・やめてよ・・・」
クロノアはすぐにそう言ってきたが、口調と表情からして続けてほしい事は判る。
「いつもみたいに素直になりやがれ。」
顔をぴとっとお腹に密着させて、嘗める。
クロノアの濡れて固まった毛がチクチクと顔にあたった。
臍のあたりはたちまち体表から毛まで濡れてしまった。
ガンツは落ちついた行動をしているが、そろそろ穏健な行動をするには限界がきていた。
と、臍の辺りを嘗めていたガンツは、なにかが首もとの毛に当たっているのに気がついた。
クロノアのズボンだった。
ズボンは今や異様な形に変形しており、一箇所が湿っていた。
嘗める事に夢中でつい忘れてしまっていた。
ガンツは自分に、呆れつつ食欲をそそるズボンへと舌を運んだ。

ガンツがズボンに手をかけると、それまで黙っていたクロノアが突然声をだした。
「そ、そこはだめ!」
弱弱しい手で必死にズボンを手で覆った、いや、ズボンの変形している部分を覆った。
「ンだよ、お前のズボンが本当の気持ちを言ってんだよ」
ガンツは意地悪く笑うとズボンを少し下ろして、半ば強引に顔をズボンに突っ込み、舌でズボンを変形させた原因を捕らえた。
ガンツはすぐに愛撫した。するとそれはどんどん膨らみ、白濁とした蜜をだした。
ガンツが夢中で嘗めていると、ふとクロノアの様子が気になった。
初めての感覚にクロノアの表情は気持ちよさを通り越してしまいそうになっている。
それを見たガンツは少し嘗める速度を弱めてみる。
するとクロノアの表情もほっとしたような表情になる。
また、舌の速度を上げてみる。すると、また通り越してしまいそうな表情になる。
「ちっ、やっぱり病気だとすぐにイッちまいそうになるか・・・。」
ガンツは渋々舌を放して、またクロノアの顔のすぐ横に顔をおいた。
「ハァ・・しんどいよ・・・。」
どうやら今のは病人には効きたようだ。
さっき見た時よりも、顔を紅潮させ、汗をふきだし、口からはよだれを滴らせていた。
快感のせいか?それともただ、熱のせいか?だけど、ヨダレを垂らしてるし・・両方ってことか。
ガンツは布団から出た。
クロノアは薄ら開いている目で、ガンツを見ている。
ガンツはジャケットから何かを取り出して、クロノアに見せた。
「これが何だかわかるか?」
ガンツがクロノアに見せた物は、カプセル型の薬だった。
それを見た途端クロノアの表情が引き攣る。
「そ、それ・・なにか変な薬でしょ!ゼッタイ飲まないよ!」
そのクロノアの相貌を見て、こみ上げてくるような気持ちを必死に抑えながら、ガンツは言った。
「病人に変なもん飲ませてもツマラネェだろ。だから、入れてやんだよ。」
不思議そうな眼でガンツを見た後、薬に視線を戻したクロノア。
一瞬の沈黙の後、クロノアの表情が変わった。
「それだけはやめてよ!今そんなのされたら僕死んじゃう!」
ガンツは懇願するクロノアの横に寝転がり、逃げようと熱で弱った体を必死に動かすクロノアを捕らえた。

ガンツは懇願するクロノアの横に寝転がり、逃げようと熱で弱った体を必死に動かすクロノアを捕らえた。
「安心しな、無理はしねぇ」
もがくクロノアのズボンに腕を入れ、垂れ下がっている尻尾をのけ、穴に手をやった。

入った。

クロノアに休む間も与える事なく、ガンツは薬を入れた。
薬を入れた後は、指を停止させた。
クロノアは苦痛と快感の両方に体を悶えさせている。
そのクロノアを自分の元に引きよせ、ガンツは快楽の表情を浮かべた。


どのくらい経ったのだろうか。
気持ちよさと眠たさで頭がボーっとする。
クロノアはあの後眠ったが、ガンツは横でずっと見守っていたのだった。
辺りはもう真っ暗になっており、外は二人のように静かだった。
「ガンツ・・・」
眼を覚ましたクロノアが小声で呼びかけた。
「どうした。」
「寒い。」
クロノアはまたガンツの胸元に顔をうずめ、大きな耳を両方ともガンツの背中に当てて、ガンツをくるむようにした。
そんなクロノアの行動に、不思議な安堵感を覚えた。
「ンだよ甘えやがってよぉ・・」
ガンツはクロノアの頭を軽く撫でてやった。


おわり


作者コメント

校正やら推敲やらはしまくったつもりだけど、わかりにくかったらスマソ。
なんか最初はポプカとクロノアが喧嘩して飛びかかろうとしたクロノアをガンツが池に落とすという展開だったんだが
それではあまりにクロノアっぽくないから今の形にした。
ガンクロってある意味クロロロ以上かもしれないと思った。